子どもを出しにした規制目論見研究会

時事通信社の4月10日付けの記事に以下があった。
 インターネットやゲームが子供をめぐる犯罪にどのような影響を与えているかを探る警察庁の研究会(座長・前田雅英首都大学東京都市教養学部長)の初会合が10日、東京都内で開かれた。冒頭、同庁の竹花豊生活安全局長が「IT(情報技術)社会の進展で犯罪には新たな局面が生じ、特に子供を巻き込んでいるとの危機感がある。現状打開のため、知恵と情熱をお借りしたい」とあいさつした。

 同会の名称は「バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会」。心理学や教育の専門家ら15人で構成する。

 アニメやネット上の性や暴力に関する情報、子供のゲーム依存などの問題について、夏までに論点整理し、規制のあり方や業界の対応策などについて提言する。
 
日本人は往々にして「他者を出しにしての物言い」をする人が少なくなく、ニュースで取り上げられた研究会なる代物も、「自分たちに都合悪い事柄を子どもを出しにして取り締まろう」というのと同義と見るべきだ。
また日本人一般は自己責任に対して希薄であり、他者への責任転換もしくは他者による保護性を重視する傾向が見受けられ、「聞いてなかった・知らなかった」ことを理由として、自己責任を免れようとする面も少なくない。

つまり日本人一般は成りは大人でも精神は子どもとさほど変わらないということで、そのため先ほど述べたような精神的表れとなってしまっているのである。そして、その結果、他者の考えや行動を縛ることによって、自己責任を益々希薄なものにしてしまい、それで良しとする風潮も珍しくなくなっているのである。

こういった背景を踏まえれば、子どもを外界の脅威から守ろうという能書きは、「自己責任を重視する大人」の行動までも規制することに繋がってしまう。つまり子ども守ると称して設けられた柵や檻が、該当しない人たちの行動を妨害する障壁となってしまうということだ。

この弊害を回避するには、煙草やアルコールについての取り組みに準じた社会的な方策を取り入れ、「子どもの監視体制」に取り組まなければならない。特に親の責任を重視し、例えば12歳以下の子どもは親に全面的保護責任を課す法的制度を検討すべきである。
そしてその一方で、インターネットへの接続には保護者若しくは教師の承認を必要とすると共に、有害情報にはアクセスできないよう設定したブラウザをあてがうことも必要だろう。またゲームについては日本でも対象年齢表示の義務付けを採用し、親がゲーム内容を推し量れるようにする方法も必要である。

しかし、研究会の結論は「子ども保護の名を借りた規制」になるものと思われる。
2006年04月11日