The passion of the christ

メル・ギブソン監督の「パッション」見た。直訳すれば「キリストの受難」だが昨今ではそのままの読みにするのが流行らしい。ということはさておいて、これは通の映画と言えようか。つまり新約聖書でのイエスのお話しを知っている人にはそれなりに見れるが、そうでない人には残酷描写以外に見るべきところがないのではないかと思う。
またイエスのお話しを知っている人でも、イエスの神聖を好む人(一般的にはキリスト教徒)には内容的に物足らないかもしれない。物語の末尾で岩屋に葬られたイエスがゾンビとして復活する(^_^)のを匂わせる描写があるものの、それ以外の点では奇跡や呪術といった描写はないからである。

映画ではイエスが鞭打ちの刑に処せられるが聖書にはそのような箇所はない。しかしストーリー的にはありそうなことなので許せるとしても、イエスの母マリアが全編を通じて登場するのはいただけない。マグダラのマリアならまだしも、イエスの母マリアは「イエスから『あれは私の母ではない』」と追い返えされた描写が聖書にはあるから、イエスの母を登場させるのであれば「金の無心に来た」ことにすればストーリー的には無理が生じなかっただろう。

そういった余計な点を除けば、聖書でのイエス物語に比較的忠実とは言えよう。「鶏が無く前にペトロが三回知らない」と言う描写を初めとし、「イエスに替わって十字架を担がされる男」の描写までも取り入られている。そして更には神を呪う言葉(何故私をお見捨てになったのですか)も言わせているわけで、イエスの人間的側面を殆ど取り込んでない点では不満もあるがそれなりに見ごたえのある作品であった。但し何回も見たい作品ではない。
2005年01月21日