大風呂敷と空手形

◆民主マニフェスト、エネルギー・経済政策で自民との違い鮮明に

日本における選挙では大風呂敷(現実性に乏しい大げさな話)と空手形(実行されない約束)がつきものであり、選挙によって当選した人もしくは政権を握った政党が選挙時のスローガンを実行しなくても有権者はそれほど目くじらは立て来なかった。
そういった状況において期待感を担って東京都都知事に当選したのが青島幸男である。しかし彼は現状認識が欠けていたために都議会での質問にまともに答弁することができず、方向修正を繰返して有権者に「嘘つき」と罵られることになった。

青島幸男は「他の人は実現しなくても何も言われないの、なんで私だけが嘘つきと罵られるのか」なんてことを言った時もあるが、有権者の期待感を選挙に利用し「実現を確約」したことが仇となったのである。
つまりは「可愛さ余って憎さ百倍」という言葉もあるが、『期待感が大きければ(実現されない場合の)失望感も大きい』という人間心理が働いたために、青島幸男にとっては単なる選挙スローガンだったものが裏目に出てしまったわけである。

さて今回の衆議院選挙に向けての選挙スローガンに「原発政策」に対してのものが目立つが、政権を握れる見込みがない党ほど大風呂敷を広げている。政権につけたら直ちに原発を0にするとまで言っている政党はないが、滋賀県知事嘉田由紀子が結成した日本未来の党では「できるだけ速やかに(原発を)ゼロにする。見通しとしては10年(後)、2022年を考えている」とテレビ番組で話したそうである。

言うだけならなんとでも言えるわけだが、問題は現状をどれだけ認識できてるかである。現在の電力需要に見合った代替の電力をどのようにすれば確保できるのか、といった見通しがあってこそ「いつまでに」という期限を設定できるわけで、想定なくしての選挙スローガンは無責任そのものである。
2012年11月28日