飯山一郎の主張を検証する その1

飯山一郎の「乳酸菌+光合成細菌で放射能除去」という主張は2011/03/21の日記で「初めて登場」するが、それ以前において関わりあることは一言も述べてないので唐突感を拭えない。
また2011/03/23の日記においても同様な主張が見られが、その根拠となることはこれまたひとつも示されてはいない。

2011/03/25の日記には以下の文面がある。
簡単に言うと…,
セシウムやヨウ素等の放射性物質を,『光合成細菌』が食べてしまう!なぜ食べるのか?放射性物質が放出する“放射線というエネルギー”を利用するために食べる.
人間が死んでしまうような強い放射能でも,微生物は大丈夫なのか?大丈夫! むしろ微生物は,放射能を喜んで集める.微生物を使って放射能を回収する実験をしている研究者もいるほどだ.
微生物を使って放射能を回収する実験」というところにリンクが設定してあるが、実際には『光合成細菌を用いた放射性物質(ウラン、ストロンチウム、コバルト)回収実験』についての記事である。そしてその記事の要としては「Y字型のセラミック(全長5センチ)に封じ込められた特殊な光合成細菌が帯びるマイナス電気が、プラスイオンの放射性物質を引き寄せる仕組み」という電子的特性を利用したものであるが、飯山一郎の手にかかると『微生物は,放射能を喜んで集める.』ことになってしまうわけなのだからお笑いだ。
また飯山一郎は「放射能」と述べているが、記事は「放射性物質」についてであり、厳密には両者は同じ事柄ではない。放射性物質とは「放射性核種を含む物質」のことであり、放射能とは「放射性元素の原子核が自然に崩壊して放射線を出す性質。また、その現象」のことであるからだ。

また、飯山一郎は次のことも述べている。
強い放射能でも,本当に微生物は大丈夫なのか? マジ死なないのか?大丈夫! 微生物は,原子炉の内部など強烈な放射能環境下でも平気で生存する.
微生物が,どれほど放射能に強いか! コレを見て欲しい.
人間とは逆に,微生物にとって放射能は“自然の恵み!”なのだ.ココを見てみて!
ネ? 凄いっしょ!
「コレ」と「ココ」にリンクが設定してあるが、どちらも「放射線」についての記事であるにも関わらず、飯山一郎の手にかかると「放射能」に化けてしまうのである。ここで言われている放射線とは『放射性物質から放出されるα(アルファ)線・β(ベータ)線・γ(ガンマ)線の総称。広くは、X線・中性子線・宇宙線なども含めて、すべての電磁波および粒子線をいう。輻射線。』であって、飯山一郎の述べている「放射能」とは別の事柄なのだ。
また「ココ」のリンク先の記事の要は
 回収された菌は豊富にメラニン色素を含んでおり、その表面を紫外線から守っていた。それはどの菌においても同じだった。

 科学者は3種類の菌である実験を行った。通常、植物は葉緑素によって光エネルギーを吸収して成長する。実験では回収した菌に日光の代わりに、有害な放射線を与えた。すると菌たちは驚くことにこれらを吸収し、成長していった。
 であり、「日光のかわりに放射線を照射しても成長した」ということと「菌にはメラニン色素が豊富に含まれ、それによって紫外線から守られていた」ということにある。にも関わらず飯山一郎の手にかかると「微生物にとって」と、丸ですべての微生物がそうであるかのような表現に変えられてしまうことになる。
2011年08月04日