昔に作られた時代劇は良い

見る映画は殆ど西洋映画だが邦画もたまには見る。2000年以前の西洋映画は進行がトロくてかったるいのでまず見ないが、邦画に関しては古い時代劇が放映されていれば見ることもある。

昔に作られた時代劇で最も良いと思えるのは女性の描き方だ。慎ましく、しとやかで、出しゃばらず、男に付き従うといったことが特徴的である。いわゆる往時の大和撫子そのままであるわけだが、現代の一般的な女性と比較すれば別世界の女性像である。

昨晩に市川雷蔵主演の大菩薩峠三部作の内の最終作を途中から見たが中々に良かった。中村玉緒もまだ若くて綺麗で声質もよく、今の中村玉緒のイメージとは雲泥の差があった。他の女優陣の名前には心当たりの無い人が殆どであったが、女性像の描き方は共通していた。

随分前に見た萬屋錦之介主演の宮本武蔵も入江若葉が演じるお通の描写が良かった。原作の吉川英治の妻とお通のイメージとは近しい部分があったと入江若葉が後日談として語っていたが、時代の流れとは言え醜女で行儀作法も何もない馬鹿女を全面に出して描写する現在の時代劇は真面目風であっても喜劇と同じである。
2014年12月25日