本音と建前

◆原発周囲10年住めないとの首相発言報道、官房長官が否定

チェルノブイリでは半径30kmが居住禁止地域に指定され、北東350kmの範囲内にある高濃度汚染地域約100箇所で農業や畜産業が禁止されたという。事故が起きたのは1986年で、2010年末に発電所付近の放射線レベルが低下したことにより立ち入りが許可されている。
その間25年であるが、福島第一原発の周囲には10年・20年住めないだろうという菅総理の発言は先例であるチェルノブイリを参考にしたまっとうな意見であるばかりか素人でも思いつける内容である。

しかしその可能性を菅総理が表明したとなれば、福島原発事故によるところの「避難民の希望を打ち砕いてしまう」ことは確実であるために、枝野幸男官房長官は菅総理がそういった意味のことすら言ってないと打ち消しに懸命なのである。
この「希望を持たせる」やりかたは、福島原発の事故が発生した当初からの政府の一貫した姿勢で、当初は大したことがないようなことを発表しつつ徐々に事実を明らかにしていったのも同様の考えによるものであろう。

レベルが7に変えられたことによって野党や与党の一部議員が菅総理の退陣を求めて騒いでいるが、そもそもが日本人の大部分は昔から重大なる危機状況に直面すると「もう駄目だ」と意気消沈して前には進めなくなるものなのだ。大東亜戦争において戦いに敗退したにも関わらず「敵戦艦**隻撃沈、敵巡洋艦**隻大破、味方の損害僅か」などとウソの大本営発表をしたのも今述べた日本人ならではの国民性が背景があったためでもある。
逆に日本人の大部分が「危機を目の前にして奮い立つ」性向だったならば、味方の損害を正確に知らせることによって奮起結束をし、なおかつ敵愾心を煽ることにも繋がっただろうが、そうではない国民性であるため「希望を保ち続けせる」ためには嘘も必要になってくるのである。
2011年04月14日